第66回<稼ぐオフィスの経営者の決意表明>

“稼ぐオフィス”の経営者は、
自身の決意を利害関係人全てに発信する、

“稼がないオフィス”の経営者は、
他人に作らせた決意表明をする

 未来戦略として、あなたの事業構想とはどのようなものでしょう。
その夢に向かって、誰に、いつまでに、何をさせたいと思っていらっしゃいますか。
あなたの想いを相手に上手く伝えられていますか。

“稼ぐオフィス”にするために、「社長の決意表明が必要だ」と私は考えています。

何故でしょうか?

 それは、ご自身の事業構想と信念を世間に知らしめるためだからです。

誰がするのでしょうか?

 もちろん社長がするのです。

誰にするのでしょうか?

 それは、社員、取引先、その他利害関係人に対してです。

どこでするのでしょうか?

 それは、非日常の場所が良いと考えます。

どのようにするのでしょうか?

 一方通行の話にならないように、皆と交流することに留意します。

費用をどれだけかけるのでしょうか?

 もちろんケチってはいけません。しかし金をかけすぎるのもいけない。
接待費、会議費、広告宣伝費との折り合いがつく範囲で行うことが必要です。

 決意表明の場としては、ホテルなどのオフィス以外の場所で行うのが良いでしょう。
 日常とは違った緊張感をもって、社員達と株主、銀行の支店長、取引先などの利害関係人を招き、双方向のコミュニケーションを取るようにします。

 話す内容は、事前に準備した原稿通りに、「オフィス戦略方針」を盛り込みます。
経営戦略や事業方針に「オフィス戦略」を加えて物語ります。

 オフィスの専門家から見れば、あなたの方針はオフィスの作り方に如実に現れていると言えます。

あなたのオフィスが、
「清潔なオフィス」なら、お客様をご招待しようという意気込みを感じられるし、
「不潔なオフィス」なら、細かな配慮もできない会社という印象を与えます。

「整頓されているオフィス」には、効率化と他社への気遣いが感じられるし、
「片付かないオフィス」は、頭の中や仕事にも混乱が生じるだろうと思わせてしまいます。

「明るいオフィス」には、いきいき働く社員の笑顔が似合うし、
「暗いオフィス」は、儲かってなさそうで近寄りがたい雰囲気を醸し出すものです。

「活気あるオフィス」には、自社も肖りたいと思える儲けの源泉が期待されるし、
「覇気のないオフィス」は、付き合っていたら貧乏くじも付いてきそうな感があります。

「働きやすいオフィス」には、切磋琢磨できる仲間の集いを感じるし、
「使い勝手の悪いオフィス」は、いがみ合いと足の引っ張り合いで、不親切な行動を連想させるものです。

「来客が多いオフィス」には、もてなす精神を感じるし、
「外部から遮断されたオフィス」は、人を寄せ付けない尊大さが見え隠れしています。

「人に優しいオフィス」には、お客様を和ませる利他的な社員たちがいるものだし、
「不親切なオフィス」は、私利私欲の精神が宿っていると思われても文句は言えないでしょう。

「快適な環境のオフィス」には、健康的で活動的な社員との交流が望め、雑談からも商談が生まれそうだし、
「過酷な環境のオフィス」は、不健康で後ろ向きな意見で蔓延してそうだと感じさせてしまいます。などなど。

様々ありますが、これらは皆、経営者の考え方が反映されているのです。

経営者が社員に向かって、
「ムダを省け!」とはっぱをかければ、「マイナス思考のオフィス」の方向性だし、「もっと売れ!」とはっぱをかければ、ギスギスした雰囲気漂う「不親切なオフィス」が出来上がります。

 それとは逆に、経営者が社員に向かって、「私は社会に対して、このように貢献したいと考えている。社員のみんなの協力があれば必ず成し遂げられると信じている。どうかみんなでお客様を喜ばせる仕事をつくってみんなで幸せになろう!」という想いで決意表明をするならば、理解や同意と共感を得て、あなたの思い通りのオフィスが出来上がります。

 どちらを選ぶのもあなた次第ですが、多肢択一ではなく、たった二つの選択を誤ってしまうのは、もったいない限りであると言えます。

 “稼がないオフィス”の経営者は、自信がないので決意を表明することができません。
それどころか、他の人、社員や業者に口頭で伝えて、書類作成をさせている方もいます。自社の存在意義よりも、まず目の前の売上げが大事なので、仮に表明したところで聞く方は絵空事に感じて、本気にはならないでしょう。これでは「何をか言わんや」です。

 “稼ぐオフィス”の経営者は、成すべきことが明確に定まっているので、利害関係人全員の前で決意表明をすることができます。自社の社会的な存在意義と覚悟があるので、皆の共感を得て、行くべき道を進むことができます。

では、どうしたら決意表明するための準備ができるでしょう?

ここに外部コンサルタントの必要性が生まれるのです。

 コンサルタントを入れるには、会社の内情を明かすリスクを冒すことにはなりますが、今までだって、オフィス環境改善を謳う業者の質問に答えるカタチで話しているはずです。コンサルタントへの相談は、このような業者に明かすよりも低リスクであることは間違いないことと言えます。

 何故なら、彼らこそあなたの会社の秘密を他の業者に漏洩させることなく、あなたの決意をあなたの言葉でまとめる術を心得ているからです。

 いくら厳密に「秘密保持契約」を締結したところで、オフィス環境改善の業者では、設計するにあたり、デザイナー、内装、電気、電話、空調、その他設備工事業者など、協力してくれるところと連携しない限り、オフィスを作り上げることは不可能なのです。

 あなたの会社の内部事情は各業者に漏洩しています。

 しかし、コンサルタントとの相談によって、社長ご自身で企画することで、各業者への必要最低限の情報提供で、オフィス設計が可能になるのです。

 まず第一に社長の構想をカタチにする。そして、誰にでもわかる言葉で目的を明確にする。最後に皆に表明して共感者を得て、パートナーに委ねることでそうできます。

 この手順を踏むことで、社員やパートナーの協力を最大限に活かせて、後は方向性だけ示せばプロジェクトは完遂します。

単純かつ明快なことなのですが、実行している経営者は少ないと思います。

ですから今年こそ、是非とも取り組んで頂きたい課題なのです。

あなたの決意表明から“稼ぐオフィス”が出来上がるのです。

あなたの決意表明は、いつ、どこで、誰にしますか?
その決意とはどのようなものですか?